レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム

座長挨拶

私たちが生きる現代社会は、多種多様なハイテク技術・製品に支えられています。 また、科学技術立国を掲げる日本は国際社会において、低環境負荷技術による 持続可能な社会へのシフトを牽引していく立場にあります。


こうした最先端産業やグリーン産業に必要不可欠であるのがレアアースと呼ばれる元素群です。


我々の研究グループは、これまで誰も注目していなかった深海の「泥」が、 新たなレアアース資源となりうることを2011年に発表しました。 続く2012年には、日本の排他的経済水域である南鳥島周辺にもこの「レアアース 泥」が分布することを明らかにし、日本がレアアース資源を独自に開発できる 可能性 を示しました。 これは、「日本は資源に乏しい島国である」という従来の固定観念を払拭しうる 画期的な発見であるといえます。 そして2013年、我々のグループと独立行政法人海洋研究開発機構が実施した調査により、 世界最高品位の「超高濃度レアアース泥」がまさに南鳥島周辺の海底に眠っていることを突き止めました。


現在我々が国や企業と共に進めている、選鉱・製錬に関する基礎実験や開発プロジェクトの経済性評価、 より詳細な資源分布把握のための調査航海などの一連の成果は、南鳥島のレアアース泥の開発が十分に現実的であることを示しています。


このように、レアアース泥の発見からわずか数年で、日本が「資源立国」へと転換できる眺望が開けてきました。 これを現実のものとするためには、様々な知見・ノウハウを有する産業界の皆様との協働が不可欠です。 そのために発足した本コンソーシアムが基盤となって、世界初の海底鉱物資源開発を日本が実現するという 夢に向かい、前進していきたいと考えています。


また、2024年6月の日本財団・東京大学の南鳥島マンガンノジュール調査により、南鳥島にはコバルトやニッケルなどのバッテリーメタル資源となるマンガンノジュールも連続的に高密度で分布していることが明らかになり、2025年以降の揚鉱実証試験を目指した計画が進展中です。本コンソーシアムでも、レアアース泥とともに並行してマンガンノジュールを重要鉱物資源として開発することを目指して「東京大学レアアース泥・マンガンノジュール開発推進コンソーシアム」に名称を変更いたします。


座長  加藤 泰浩

東京大学 大学院工学系研究科 システム創成学専攻 教授

千葉工業大学 次世代海洋資源研究センター 所長